飲食業を営む上で知っておきたいb型肝炎の基礎知識と誤解

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レストランや喫茶店などの飲食業を営む上では感染症に対する注意を払うことが必要です。集団感染の現場になってしまったら大変なことになってしまいます。

衛生管理を行う上で、患者数が増えて問題になってきているb型肝炎への対策を考えることは重要かもしれません。基礎知識を習得するとともに、世の中での誤解の影響も考慮しておきましょう。

b型肝炎は血液感染が主なウイルス感染症

b型肝炎は世界的に感染患者の増加が問題になっている感染症で、b型肝炎ウイルスに対する感染によって起こります。比較的患者数が多い肝炎ウイルスにはa型、b型、c型の三種類がありますが、種類によって感染経路に大きな違いがあるので注意しましょう。

b型肝炎ウイルスへの感染はほとんど血液や体液を介したもので、空気感染や飛沫感染、食べ物などを介した接触感染などはありません。代表的なものとして母子感染や性行為を介した感染が知られています。ただし、接触感染も全く起こり得ないというわけではないので注意しましょう。

b型肝炎の患者と健常者がともに皮膚のバリアで守られていれば問題はありません。しかし、b型肝炎の患者が切り傷を作ってしまい、その傷に触れた健常者は手荒れを起こしていて傷が手にたくさんあったという場合には感染が起こるリスクがあります。

微細な傷でも問題になってしまう可能性があることは完全には否定できないので、病院に入院しているb型肝炎の患者のケアをするときにも医療従事者は手袋をして対応するようにしています。ウイルスはゴムやアクリル、ビニールなどで作られている手袋を通ることはできません。

このような予防措置を行えば接触による感染のリスクは大幅に下げられるでしょう。

食器の消毒はどのようにして行えば良いか

飲食業では大勢の来客が食器を共有することになります。洗えばきれいになるから大丈夫と考えることもできるでしょう。b型肝炎ウイルスは水洗いをしてよく流してしまえば基本的には問題はありません。家庭レベルではその程度の対応で大丈夫ですが、水洗いを励行して従業員が手抜きをしてしまったら感染が広がる可能性もあるでしょう。

リスクを低減させるためには食器の消毒方法について検討しておくのが無難です。調理器具や手指の消毒にはよくアルコールが用いられています。アルコールは様々な細菌やウイルスを瞬時に死滅させる効果があるからですが、真菌や寄生虫のように大きな病原体に対してはあまり効果がないので万能と考えてしまうのは問題でしょう。

ウイルスの中にもアルコールに対してある程度の抵抗性を持っているものもあります。b型肝炎ウイルスもその一つで、アルコールで湿らせた布で拭き取った程度では完全に死滅させることはできません。アルコール液にしばらく浸しておく程度のことをすれば良いですが、アルコールは揮発性が高いので厨房で行うには管理が大変でしょう。

効果的なのは次亜塩素酸ナトリウム水溶液を使う方法です。これは高い酸化力で殺菌を行う方法で、ほとんどの種類の細菌やウイルス、寄生虫などに有効です。もしb型肝炎の患者や、他の感染症のキャリアが来店する可能性が高い場合には日常的に次亜塩素酸ナトリウム処理を行うようにしましょう。

通常の洗い方をした食器を次亜塩素酸ナトリウム水溶液に浸し、最後にまた水洗いをするというだけで簡単に対処できます。

スタッフにb型肝炎患者がいても大丈夫か

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食器による感染拡大を防ぐことは消毒でもできます。しかし、飲食業としてはスタッフから来客への感染も懸念しなければならないでしょう。スタッフにb型肝炎のキャリアがいても大丈夫なのかというのは大きな問題です。

就業するときに告知しなければならないわけでもなく、実は感染していても自分がキャリアになっているとは知らないというケースもあります。

スタッフにb型肝炎患者がいて、調理をしているときにb型肝炎ウイルスを食事の中に入れてしまったら大感染を起こすかもしれません。加熱調理をすれば死滅させられますが、加熱が不十分だったり、サラダなどのように加熱しないものだったりすると問題です。

しかし、感染経路を考えれば明らかなように、血液や体液が食べ物に直接付着しない限りは問題ありません。調理中に包丁で手を切ってしまい、その血液が混入するというのが想定されるパターンですが、手袋の着用を義務付けておけば問題ないでしょう。

世の中でよくある誤解に気をつけよう

b型肝炎は血液感染というのは肝炎感染に関する基礎知識ですが、誰もが知っているわけではありません。

食事を通して感染するリスクがあるa型肝炎の印象が強いと、b型肝炎も同じだと考える人もいるでしょう。

また、c型肝炎の印象が強い人の場合には偏見を抱いてしまうかもしれません。飲食業を営む上ではその影響も考慮して対策を考えなければなりません。例えば、調理スタッフの中にb型肝炎の患者がいるという話が世の中に出ていったとしましょう。

すると、あの飲食店で食事をするとb型肝炎になるかもしれないという噂が流れてしまう可能性があるのです。

世の中の人が必ずしも正しい知識を持っているわけではないため、あたかも本当のことのように噂が一人歩きしてしまうかもしれません。

このような誤解によるトラブルも起こり得るため、適切な対処ができるようにしておくことが肝心です。

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誤解への対策はどうするべきか

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誤解への対策は正しい知識を広めるしか方法はありません。b型肝炎の患者がいたとしても動じず、感染を予防するための最大限の措置を行っていることを明確に示しましょう。手袋の着用、食器や調理器具の徹底した消毒などを行っていて安心して利用できる飲食店だということをホームページなどでアピールしておけば良いのです。

たとえb型肝炎の患者がスタッフにいなかったとしても、他の感染症を持っているスタッフを雇ってしまっていたときへの対策にもなります。他のお客から移ってしまうのが気になるような繊細なお客にも来店してもらえるようになるかもしれません。

ただし、対策として行ってはならないのが患者はスタッフとして採用しないという方針を打ち立てることです。b型肝炎に対する偏見を助長することになるだけでなく、差別行為になることは明らかでしょう。雇用の際に告知を促すのは構いませんが、強要したり、それを理由に雇用を見送ったり、解雇したりするのは望ましくありません。

参考⇒b肝炎訴訟:アディーレ法律事務所